バックナンバー【PC GIGA 2006年6月号掲載】

『キンタマハザード』

 最近、またぞろウイルスが大流行しています。
しかも今回は、勝手にフォルダをネットワークに公開してしまうウイルスの山田オルタナティブや、Winnyを介してデスクトップのスクリーンショットやファイルフォルダをP2P網に流してしまうキンタマウイルスなどの、暴露系ウイルスと呼ばれる新機軸のウイルスが問題になっています。

 現在は自衛隊の国家機密に始まり公安の捜査資料、寺社仏閣の勧進帳に至るまでが暴露されまくっている始末で、その洒落にならない被害から国会でまで取り上げられています。
とはいえ、そもそもキンタマウイルス蔓延についてはWinnyのソースコードの公開が差し止められていることそのものが原因で、国家機密がダダ漏れに漏洩するぐらいならソースコードを公開したほうがはるかにマシなはずですが、そうもいかないのが警察のメンツ。
警察の体面を守るためなら、国家機密が漏洩しまくってもしょうがないことです。たとえそれが警察関係資料だったとしても。
このように警察的には国家機密ですらどうでもいいのなら、個人情報ぐらい屁でもありません。
ゆえに今日も今日とて暴露ウイルスは、ファイアウォールどころかフリーのアンチウイルスソフトすら噛ましていないパソコンから、拡張子の意味が分からない人たちによって個人情報が全世界に発信されています。

 さて、ここまで説明してもまだ「国家機密なんて扱ってない庶民だから大丈夫だろ」なんて考えている人がいたりしますが、秘密の漏洩で破滅するのは何も新聞沙汰になった大事件ばかりではありません。
新聞を賑わす大事件の陰で、小規模に不幸に見舞われる犠牲者が無数に誕生しています。
キンタマウイルスを介したWinnyや山田オルタナティブにより個人情報が流出すると、そこから流出情報が検証されます。そこから大まかに特定された情報が、まちBBS等の地域密着型BBSに持ち込まれ、さらに個人情報が特定されるという流れになるわけです。

 たとえば、Fさんという人物のデータが流出したとしましょう。
流出したフォルダの中身を覗いてみて、ごく普通の市販AVやゲームといった通り一遍のものしかなければすぐに飽きられますが、黒人50歳以上限定の熟女AVや、ピカチュウがフシギダネと凄いことになってる(しかも出てくるのは全部オスの)ポケモンケモショタ画像や、外人が描いたドラゴンボールZのガチムチハードゲイ画像などといった一風変わったものを集めていたりすると、一気に注目を集めかねません。
しまいには、
「うはwwwコイツうちの大学の先輩wwwwww」
などという話になり、その後一週間もしないうちに見知らぬ後輩から「ケモショタ先輩」などと声をかけられる羽目になったりすることだって有り得ます。

 このように、暴露系ウイルスの被害者はたとえTVで大々的に報道されなくとも、本人としては大体こんな感じで、ある意味で子供の頃からのポケモンに対する憧れが邪進化し、ポケモンから全く卒業できてないことを知られて死にたい気分になっている人は、日本各地にたくさんいるわけです。

 でも大学時代の恥なんて所詮はかき捨てというもの。
人間誰しも何らかの変態ですし、誰も恥ずかしい目にあわないまま大人になれません。実害さえなければ多少恥をかいても、今後をよりよく生きればいいわけです。べつにババアマニアとかケモショタ先輩とかドラゴンボールHGと呼ばれたって、そのうちみんな忘れます。
その間に改めてPCのセキュリティの勉強をすれば、まだ間に合います。しかしそんな軽微な被害では済まない事例もあります。それは『キンタマ離婚』です。