バックナンバー【PC GIGA 2006年7月号掲載】

『キンタマ不倫』

 本誌読者にはおなじみの……というか、今ここにある危機。
それがAntiny系暴露ウィルス、いわゆるキンタマウィルスです。  4月21日、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)から「JVN#74294680:Winnyにおけるバッファオーバーフローの脆弱性」つまり「悪いこと言わんからWinny使うのやめれ、最悪でも対策だけはしとけ」というお触れが出るまでに至りました。Winny開発者の金子氏直々のお墨付きです。
しかも今回発見された穴はEXEファイルを踏まなければいいというレベルのものではないという大穴で、最悪winnyを立ち上げただけで感染するものを製作可能だということです。
とりあえず漏れたらヤバい何かを持ってる人は、重要データが入ったPCでのP2P網への接続は控えるべきです。少なくともセキュリティホール解消のための対策ぐらいはしておきましょう。
しかしここで自分は国家機密や重要な個人情報を扱ってるわけじゃない庶民だから大丈夫なんて高をくくっていたら、中学時代から書き溜めた4メガバイト分(およそ文庫本20冊分)のポエムがネットの海に旅立ったり、オナニー用に自分で描いたふたなり少女のスプラッター漫画絵巻が800枚も流出したりして、あまつさえそれが評判を呼
んでしまい、なりたくもないのにゲージツ家にされてしまわないとも限りません。
そんな無駄に睾丸毒がたぎってる訳でもないから大丈夫だよと思っている人も、全く油断できません。

 さて、地方都市で妻とともに小さなレストランバーを営むオーナーシェフのGさんは、Winnyどころかパソコンすら持っていません。
メールなんかのためにパソコンに向かうのは面倒で、むしろ携帯で充分だと考えています。知ってるパソコンといえば、浮気相手のウェイトレスの部屋に置いてあるメーカー製テレビパソコンぐらいのものです。
つまりGさんは、パソコンには週に2回は妻に適当な言い訳をし、お姉ちゃんの部屋にしけ込んだときに、ぼんやりTVを見る時ぐらいしか接点がないわけです。
ニュース番組を見ながら「自衛隊までコンピュータウィルスにかかったのかよ、日本の防衛情報はどうなるんだ」などと言う程度の関わりでした。
このときGさんは知りませんでした。自衛隊どころか、自分のセキュリティ問題が大変なことになりつつあることに。

 2週間ほど経った頃、突如としてGさんのお店に、いちげんさんの男の客が増え始めました。最初のうちは知らない間にどこかで話題になったのかと思っていましたが、それにしては2回目に訪れるリピーターの数が少な過ぎます。
しかも最初は高校生や大学生・若いサラリーマン客が中心だったのが、徐々に近所の商店のオッサンやオバハン達へと変化していくようになってきました。
突然の客層の変化にGさんもさすがにおかしいと感じ始めた頃、郵便受けに1枚のDVD-ROMが投函されました。自宅にはパソコンが無いため中身を見ることが出来ないGさんは、そのDVDを持ってウェイトレスの部屋に向かい、中身を確認させました。

 「まさかコンピュータウィルスとかが入ってるんじゃないだろうな」
なんて言いながらテレパソのディスクトレイに差出人不明のDVDを入れてみたところ、そこに入っていたのはウィルスではありません。
というか、既にGさんが持っているものであり、ウィルスよりさらにタチが悪いものでした。
そこにはなんと、顔がバッチリ映った状態で全裸のGさんとウェイトレスがまさにハメている状態の写真と、携帯のムービー機能で撮ったハメ撮りムービーが、2人のメールの交信ログ入りで大量に収まっていました。